2020年12月に制定が定められ、2021年に初公開されたアメリカの国務省が作成しているエンゲル・リスト、2022年版が昨日発表されました。「汚職に連なる、民主主義にとって望ましくない人物」リストのことですね。
昨年はグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルの中米北部トライアングルの3カ国だったのですが、今年はあらたにニカラグアからもリスト入り(昨年のリストはこちら、今年のリストはこちら)。
中米の情勢に詳しい方なら知っている名前が結構見つかるかも。グアテマラからは元大統領1人、政治家多数、検事、判事など。今年のリストには企業トップの名前も加わっています。
昨年のリストには「人権侵害や汚職に関わっている」人たちが対象となるマグニツキー法でも名前が上がっていた人がグアテマラだけで4人いたのですが、今年のリストにはその注記が見当たらず。どちらにしても、アメリカから要注意人物としてマークされ、アメリカに資産がある場合にはやばい事態になる可能性は高そうです。大体、ビザも取り消されそうですしねー。
エンゲル・リストに名前が載ったわけではないけれど、麻薬取引で大統領退任して直ぐに逮捕され、アメリカ送りとなったのが前ホンジュラス大統領のフアン・オルランド・エルナンデス。汚職止まりだったらこのリストに名前が載るだけだったんでしょうが、麻薬取引に関わると見逃しては貰えない、ということなのですね。そう言えば、グアテマラ国内での麻薬摘発って最近全然ないけれど、どうなっているんだろう…。
それにしても、こうやってリストに名前が出たからって、アメリカ様が手出しできる訳でもなく、グアテマラみたいに上から下まで汚職ズブズブな国ですと、「この人に賄賂を渡せば何とかなる」というお墨付きリストになるんじゃないかと思わなくもなく。もちろんこれくらいのランクの汚職関係者になると、要求する金額も桁違い?お金のある人にとっては逆にアメリカ国務省公認のありがたいリストになるのやもしれません。もちろん、来年のリストに自分の名前が載る可能性はありますが…。
とまあそんなことも言いたくなるくらい、目ぼしい政治家や司法関係者の名前が出てくるエンゲル・リスト。逆に「どうしてあの人は載ってないんだ」と思う名前もありますが、どういう基準で掲載されるのでしょうね。
アメリカ様に内政首つっこまれたくないと思う気持ちはもちろんあるのですが(アルベンス政権打倒クーデターがそういう実例でしたから)、それでもいざとなるとアメリカ様に頼らざるをえない、そんなグアテマラの立場もかなり厳しい。こういうにっちもさっちもいかない現状を打開してくれるような、そんな奇特な人ってどこかに落ちてませんかねぇ…。