グアテマラの刑法の最高刑は死刑です。殺人、誘拐、超法規的処刑などに適用されることになっていますが、2000年に死刑が執行されて以来、実施されたことがありません。
制度的には死刑判決が最高裁で確定したとしても、憲法裁判所に保護請求を申し立てたり、大統領に恩赦請願することが可能なのですが、2000年に当時の大統領アルフォンソ・ポルティーヨが「大統領恩赦の手続きを放棄」して以降、「恩赦の制度はあるが、手続きができない」という司法のエアポケットにはまってしまい、死刑が執行できなくなっています。なんで刑法改正しないんだよ、というのはとりあえず置いておいて(国会ですからね、期待する方が間違っているのかしら)
加えて、1969年に米州機構の加盟国で締結された「人権に関する米州協定(通称サン・ホセ条約)」では死刑の執行を禁止してはいないものの、この条約に加盟した国が新たに特定の罪状を死刑と規定することを禁止しているのですが、グアテマラは1987年にこれを批准しています。そしてこれ以降に死刑が追加されたのが誘拐で、この刑の正当性については当時から疑問符が投げかけられていました。
一方、世界中の誰もが知っているように(?)、グアテマラは世界でもトップクラスの治安の悪い国です。殺人なんて日常茶飯事。幼い子どもが銃撃事件の巻き添えをくらって怪我をしたり亡くなったりする事件も存在しています。
そんな国の住民からすれば、冷酷に何人もの人を殺した犯人なんか死刑にしてまえ!というのは当然の感情だと思うのです。世間には死刑の執行を要求する声も大きいですし、政治家の中にも死刑の復活を声高に言う人達も多いのです。
しかし。
憲法裁判所に「死刑執行は違憲」との審判請求があり、憲法裁判所は「死刑は国民の生命権を保証した憲法に反する」と違憲判断を下したのでした。
こうして死刑は事実上執行不可能となったのですが、刑法は改正されたわけではないので、未だに死刑が存在しているという矛盾した状態になります。国会は以前にもこの刑法改正で死刑を廃止しようとしたことがあったと記憶していますが、確か世論からの反対もあり、有耶無耶になってしまったのではなかったかしら。さてさて、今度はちゃんと仕事してくれるんですかね。。。死刑がないのならば、せめてそれに代わる重罰を適用できるようにしてほしいですよ。だって今は何人殺しても「懲役刑の執行は最高50年」なんですもん。
また、死刑がなくなったとして、超人口過密な刑務所の改善はいつやるんでしょう。それには刑務所施設の新築は必要なのですが、建設しようとすると近隣住民から強烈な反対があって、これもまた頓挫している状態です。
難しいですよね。個人的には我が家方面にこれ以上刑務所を増やすのは止めてほしい。。。(やっぱりそう思うわけで)
とりあえずは、犯罪が減ればいい!わけですし、実際に今年のは殺人率が下がっているのだとか。
このまま殺人率や凶悪犯罪がどんどん減少していき、安心して過ごせる国となる日はやってくるのだろうか。
私が生きている間は無理かな。ちょっとばかりクラクラしそうになってしまいます。