Daily Archives: January 24, 2016

カルロス・ルイス・サフォン「天国の囚人」

グアダラハラ旅行の続きを書きたかったのですが、Flickrが落ちていて写真が探せなかったので、急遽変更。

実はグアダラハラで欲しかった本をゲットしてきました。それがタイトルの「天国の囚人」。グアテマラは書店が本当に限られているのですが、グアダラハラではあちらにもこちらにも。そして本も多ければお客も多い。ああ羨ましい。。。それにしてもグアダラハラ行って良かったわ、とつくづく思ったものでした。

さて。

ルイス・サフォンの「忘れられた本の墓場」シリーズの第3弾「天国の囚人」。「風の影」はダニエルとジュリアンの物語(1945~50年代)、「天使のゲーム」は作家のダビッドの物語(1917~45年)だったのですが、「天国の囚人」は独立した物語ではありますが、前の2作の隙間を埋めるような作品でした。

1936~39年のスペイン内戦、それに続く第二次世界大戦が暗く影を落とす時代のバルセロナ。38年にはフランコが政権を取り、その後長期に渡る独裁体制を確立しています。

「天国の囚人」は1957~58年の物語。「風の影」に登場するダニエルと友人のフェルミンを中心にストーリーが進みます。二人の前に姿を現す謎の男はフェルミンとともにモンジュイック城の牢獄に囚われていたことがあります。作家のダビッド・マルティンもここの囚人だったのですが、少しずつ精神を病んでいくダビッドのことを牢獄の仲間は「天国の囚人」と呼んだのでした。

作家を志す刑務所長のバルスはダビッドを恐喝して自分のための作品を書かせようと画策。一方ダビッドは友人となったフェルミンを「モンテ・クリスト伯スタイル」で脱獄させることに成功、フェルミンは何とか自由の身となることができたのでした。

しかしダニエルはフェルミンの話から自分の母親の死がバルスと関係があるのではないかと疑問を持ちます。

・・・といったところがあらすじ。登場人物それぞれの今後が気になるところで物語は終わり、最終作へと続きます。未だ未完の第4作がいつ読めるのかは謎ですが。。。

1作目と2作目に共通して登場するのは「センペーレと息子書店」で、2つの作品の関連性は小さなものだったのですが、この作品により、いずれの作品もが密接に関連していることが明らかになります。そういう意味では重要な作品であり、4作目への期待は大きくなるのですが、この作品単独だと小粒な感じです。

それでも私はダビッドのことが以前の作品より理解できたし、共感します。そしてこのシリーズはつまりダニエルの物語なのだということもわかったし。4作目にはジュリアンが再登場してくれないかなぁ。。。

楽しみです。