Category Archives: 土地

土地横領組織の摘発

昨年から検察が大事件を摘発しているわけですが、あれもこれも追っかけていたらとても収集がつかなくなっちゃうよね・・・。でも土地が関わっている、となるとやっぱり触れておこうかと。でもこの事件、土地だけじゃなくて麻薬とかにも関わっているのでちょっと気が重いんですが。

4月6日、ペテン、イサバル両県で検察及びCICIG(国連グアテマラの無処罰に対する国際委員会)が行ったオペレーションで、土地の横領に関連したという容疑で14人が逮捕されました。

主犯格と見られるのはワルテル・オブドゥリオ・メンドサ・マッタ(Walter Obdulio Mendoza Matta)。メンドサ・マッタは4人兄弟の1人なのですが、他の3人のうちハロルドは麻薬取引容疑で2014年に逮捕されており、もう1人のミルトンはFIFAゲートに関連したとして逮捕されたFedefut(グアテマラサッカー連盟)の会長ブライアン・ヒメネスの陪席であり、ヒメネスが会長職を罷免された後、しばらく代理を務めていたこともあります。残る1人はエドウィンですが、この人物の名前を表に出てきたことはないようです。

今回の摘発のきっかけとなったのはIVE。イベーと呼ばれるこの機関、金融監督庁に属する特別調査局(Intendencia de Verificación Especial)のことで、マネーロンダリングやテロリストへの資金提供などを監視する立場にあり、多額の送金や米ドル現金のまとまった取引はすべてここに報告されることになっています。

さて、時は遡って2013年7月。グスタボ・アドルフォ・ラミレス・オルティス(Gustavo Adolfo Ramírez Ortíz)という人物の銀行口座に、多額の保証小切手(額面が担保されている小切手)が8枚デポされていることにIVEが気づきます。いずれもペテン県の土地取引によるもので総額はQ2400万相当。しかし土地取引の実態と金額がどうも合致しないこと、またデポされたお金がその後他に渡っていることを突き止めたIVEは、これを検察に告発します。

この2013年という年は重要なのではないかと思います。ハロルドが麻薬取引で逮捕されたのが2014年ですが、それまで、政界とも繋がりのあるこのメンドサ一家はアンタッチャブルと見られていたからです。そしてこのハロルド逮捕も検察とCICIGの共同捜査の賜物でした。

さて、この土地取引のどこが違法だったのか。

内戦が終わった後、和平合意に基づいて農民・貧困世帯の自立を目的として土地を安価で提供するためにFontierra(フォンティエラ、土地基金)が設立されました。一味が目をつけたのは、このFontierraから農民に売却された土地でした。

一味はまずどの土地を対象とするかを決めます。バラバラの土地ではなく、まとめた時に一つの物件として大きな面積になるように画策し、武装した人物をうろつかせる嫌がらせを始めとし、暴力、脅迫、おまけに偽造書類まで持ち出し、最終的にはFontierraの評価額よりも低い金額で土地を入手したのでした。ワルテル・メンドサ名義で11の物件、グスタボ・ラミレス名義で17の物件を入手すると、メンドサは自分名義の物件をラミレスに売却。合計28件を自分のものとしたラミレスは、セイバル森林社とチャクルム森林社へ買い取り価格より遥かに上のQ2400万で売却したのでした。その金は後に一味のメンバーに分配されます。

Fontierraから購入した土地には転売を禁止するための制限があるのですが、一味にはFontierraの職員もいまして、この制限を取っ払い、転売を可能にしたのでした。中には土地の権利者が既に亡くなっていたにもかかわらず、そんなことお構いなしに公証人が売買契約書を作成して転売させてしまったケースもあるそうです。これらの土地売買が行われたのは2008年から2011年のことでした。

横領、マネーロンダリングなどで逮捕されたのは次の14人。

  • ワルテル・オブドウリオ・メンドサ・マッタ (Walter Obdulio Mendoza Matta)
  • ジェフリー・オブドゥリオ・メンドサ・タリー (Jeffrey Obdulio Mendoza Tally)
  • ウィリアム・アルフレド・メンドサ・タリー (William Alfredo Mendoza Tally)
  • マリアナ・イサベル・メンドサ・タリー (Mariana Isabel Mendoza Tally)
  • パブロ・アンドレ・メンドサ・パス (Pablo André Mendoza Paz)
  • エルキー・ジョバナ・ポルティーヨ・ナルバエス (Elky Jiovana Portillo Narvaez)
  • フリア・マリア・ムリーヨ・アルテアガ (Julia Maria Murillo Arteaga)
  • エドリン・エリサベス・ガルシア・サンドバル (Edlyn Elizabeth García Sandoval)
  • グスタボ・アドルフォ・ラミレス・オルティス (Gustavo Adolfo Ramírez Ortíz)
  • エリック・レネ・モラレス・ピネダ (Eric René Morales Pineda):公証人
  • フランシスコ・ハビエル・モラレス・オサエタ (Francisco Javier Morales Ozaeta):公証人
  • レネ・ダニーロ・メヒア・メヒア (René Danilo Mejía Mejía):公証人
  • ネエミアス・マテウ・ロペス (Nehemías Matheu López):公証人
  • ホセ・ガブリエル・トーレス・アヤラ (José Gabriel Torres Ayala):Fontierra元職員

メンドサ・タリー姓の3人はワルテルの子供たち。家族ビジネスですからね・・・。なお、メンドサ一家の表の仕事は土木業で、公共事業を請け負っているのであります。

この事件、IVEからの告発で摘発されたというのが新鮮で、被害者については今のところ一切出てきていません。

農民が折角手に入れた土地を手放さざるをえなくなる、自分達の土地から立ち退かされる、という話は今に始まったものではありません。そして農民の土地を入手するために嫌がらせをしたり、周りの土地を買い占めて自分の土地に入れなくしてしまう、という手口も珍しいものではありません。そういう被害の届出は過去にもあったのではないかと思うのです。それに対して今まで何らかのアクションが起こされたというのは聞いたことがないです。被害者は貧乏人、加害者と目されるのはお金持ちですからね。

そういう図式に、このケースは何らかの影響を及ぼしてくれるのではないだろうか。被害にあっている農民が、告発しようという気になってくれるのではないだろうか。検事総長がテルマ・アルダナでCICIGがイバン・ベラスケスである間がチャンスだと思うんだけれどな。その後のことは誰にもわらかない・・・。

最後に、以前ツィッターで見かけた言葉を。