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IGSS-PISA事件の一審判決

昨日はジェノサイド裁判の他、IGSS-PISA(イクスーピサと読みます)事件の判決もありました。

IGSS-PISA事件は、社会保障病院であるIGSSが腎臓病患者のための腹膜透析治療をピサ社と契約した後、患者が感染症のために亡くなるケースが続出したもので、ピサ社の選定に賄賂があったとされていたものです。これとは別にIGSSーチキムラ事件という、同様の汚職事件も一緒に裁判が行われていました。

有罪判決を受けたのは12人。

IGSS執行部

  • フアン・デ・ディオス・ロドリゲス(元IGSS総裁)
  • フリオ・ロベルト・スアレス(元グアテマラ中央銀行総裁)
  • フリオ・アンパロ・ロタン(労働者代表)
  • マックス・エルウィン・キリン(経営者代表)
  • アルバロ・マノロ・ドゥボン(元IGSS副総裁)

IGSS入札委員会

  • ドリス・エルビア・ゴンサレス(元看護婦、IGSS入札委員)
  • マイラ・リスベス・ゴメス(元看護婦、IGSS入札委員)
  • アルバ・マリッツァ・マルドナド(元看護婦、IGSS入札委員)
  • デリア・ハイディー・カスタニョン(元看護婦、IGSS入札委員)
  • カルメン・ヤディラ・ヒル(元看護婦、IGSS入札委員)
  • オットー・フェルナンド・モリナ(元IGSS顧問)
  • フランシスコ・コルテス(元IGSS人事部長)

いずれも詐欺行為で有罪とされ、懲役刑は6年3ヶ月と罰金刑という、多くの死者を出しているのに軽い刑です。検察は共謀も含めて懲役28年を求刑していましたから、かなり軽い感じ。裁判所は共謀については「組織として活動したわけではなかった」というちょっと納得の出来ない理由で、これについては無罪と判断しています。

ピサ社の社員側は無罪放免。IGSS-チキムラ事件は全て無罪。

裁判の間に当時最高裁判事であり、被告の一人オットー・フェルナンド・モリナの母親ブランカ・スターリングが判事に圧力をかけるなどした、難しい裁判ではありました。それにしても人間の命のなんと軽いこと!判決は第11刑事部のモレリア・リオス裁判長、陪席はパトリシア・デラスとミリアン・エルナンデスが担当しました。

この2つの裁判については、また改めて書きたいと思います。

 

ある転落

以前、IGSS-PISA事件という汚職事件について書いたことがありましたが、この事件で逮捕、起訴されている当時のIGSS顧問であったオットー・フェルナンド・モリナ・スターリング(Otto Fernando Molina Stalling、ややこしいことに汚職で逮捕されている元大統領の名前はオットー・フェルナンド・ペレス・モリナです)の母で、最高裁判事のブランカ・アイーダ・スターリングが逮捕されました。

容疑は息子の裁判を担当している判事に、息子の保釈を求めたというもの。最高裁判事という立場の人物が、息子の事件についてヒエラルキーの下位にある初級審の判事に直接会って話をした時の録音が証拠が存在しています。

現役の最高裁判事ですから不逮捕特権があるのですが、所定の手続きを経て不逮捕特権の剥奪が認められ、逮捕に至ったのでした。これに先立ち、ブランカ・スターリングは体調不良による病気休暇(有給扱い)を申請し、認められていたのですが、いざ逮捕執行しようと検事や警官らが自宅や病院を訪れたところどこにもおらず、何とカツラをかぶって変装した姿で食料品店にいるところが見つかり、お縄となったのでありました。

病気だったんじゃないのかい。次は診断書を書いた医師がライセンス剥奪されるんじゃないだろうか。ってグアテマラの医師資格は国家資格によるライセンスではなく、医師組合みたいなところに登録するライセンス制なのでどうなんだろう?

それはともかく、13人の判事から構成される最高裁、確か昨年改選されていたように記憶しています。最高裁長官にはシルビア・バルデスが一旦選出されたのですが、憲法裁判所が選出手続きに不手際があったとしてやり直しを命じ、ここ数日、判事さんたちが毎日集まって誰にしようかとババ抜きじゃなくて投票をしているのですが、誰もやりたくないらしく、いつまで経っても決まりません。

実はこの13人の判事の内、既に2人が汚職に関わっていたと指摘されており辞任しています。この内1人は逮捕済み。ブランカ・スターリングは逮捕されても辞任したわけではないので、更迭されるんじゃないかと思いますが、どうなるんでしょう?残る判事にも汚職疑惑が重くのしかかっており、さて、最高裁はこの危機を乗り越えることができるんでしょうか。

ちなみに、シルビア・バルデスは選出が認められていれば、女性としては3人目の最高裁長官となったのでした。1人目がベアトリス・オフェリア・デ・レオンだったのですが、実はこの人も逮捕されています(現在は保釈中ではなかったか)。デ・レオンの息子ロベルト・バレーダの妻、クリスティーナ・シエカビッサは2011年に行方不明となったのですが、その後DV夫であったロベルトがクリスティーナを殺害し、遺体の破棄に母親が関わったのではないかという容疑。おまけにメキシコへ逃亡した息子(メキシコで逮捕されて送還されましたが)をかくまっていたとも指摘されていますが、実はこの事件、被害者であるクリスティーナの遺体は未だに見つかっていません。それでも殺人事件が成り立つのか?というのは疑問ではあるのですが、この家の女中さんの証言が結構ポイント高いんですよね。

2人目の最高裁長官は、現検察庁長官として汚職の摘発に尽力しているテルマ・アルダナ。というわけで、汚職してる人ばかりではないのもまた事実ですが、近年、司法への信頼感というのは急降下中。司法への信頼がまだ残っているとしたら、それはオットー・ペレス元大統領の裁判を担当しているミゲル・アンヘル・ガルベス裁判官のような、職務に忠実な裁判官がまだ存在してくれているおかげに他なりません。

それにしても、最高裁判事となった2人の女性が、いずれも息子のために自らも犯罪に手を染め、逮捕されたというのはいささか考えさせられます。我が子のためなら(それが既に成人している大人であっても)、何でもできてしまうのが母親というものなのかしら。

一方、現大統領のジミー・モラレスは息子と兄が逮捕されていますが、何ら圧力をかけるでもなく、特別扱いをお願いしているわけでもないようです。内心は穏やかではないだろうと思うのですが、この件については非の打ち所のない対応ぶりで脱帽です。って、帽子かぶってないんだった。

例えば小僧に何かあって逮捕された時に、じゃあ自分はどうするんだろうと想像すると、うーんと唸ってしまいます。もっとも私には影響力はありませんが、それでも小僧があの悪評高い拘置所や刑務所に留め置きとなったら、必死でなんとかしようと考えるだろうと思うのです。だって、拘置所も刑務所も身の安全が保障されていないですからね。

もし何かの弾みに、小僧が他人に危害を加えるようなことがあったとして、自分のところに泣きついてきたら、私はちゃんと自首しなさいって言えるだろうか。どれだけ考えても結論が出なくて、結局のところ「そういう状況にならないようにしてもらうしかない」という結論に至ったのでした。

最高裁判事というグアテマラの司法界では最高位にありながら、息子のために犯罪をも厭わなかったブランカ・スターリングとベアトリス・オフェリア・デ・レオンという2人の転落を見ると、なんとも居心地が悪いと言うか落ち着かない気持ちにならずにはいられないのであります。

IGSS-PISA事件 VII ロドリゲス

エル・ペリオディコ紙の社主ホセ・ルベン・サモラは、政治家、軍人、経営者らと対立し、自身や家族が襲われたりしながらも、新聞の独立性を保つために権力におもねることのない人物です。同紙が毎日曜日に掲載しているエル・ペラデーロ(El Peladero)という欄は、言ってみれば政界噂話と言ったところ。ペラデーロは「(誰かを)俎上に上げて丸裸にする場所」という意味で使っているのではないかと思うのですが、最近摘発されている汚職事件の内容がここに掲載されていたこともあり、この噂話の多くは事実だったりしています。そしてこの欄は国内の新聞記事の中でも一番熱心に読まれている、と言われる欄でもあります。

ネットメディアのプラサ・プーブリカが昨年9月にサモラに行ったインタビューは非常に興味深いものですが、その中でIGSSの元理事長フアン・デ・ディオス・ロドリゲスについて触れている部分を抜き出してみたいと思います。


2015年5月16日の日曜日。ロドリゲスが自分の家にやって来た。
ロドリゲス「爆弾を持っているんだ、話がしたい」
サモラ「何だって私に爆弾をくれようと言うんだ」
ロドリゲス「自分の命を守りたいからだ。これがあれば、何とか自分の身を守ることができるだろう」。
私はいとこのゴンサロ・マロキンに来てもらい、二人でロドリゲスと会って話をした。何で自分のところに来たのかとロドリゲスに尋ねた。

ロドリゲス「あんたは他の誰よりも信念と価値観と野心をもった人物だ。今はあんただけしか信用できない」。
彼は私にUSBメモリーを渡したいと言った。
ロドリゲス「そのメモリーにあるのは大統領と副大統領の首だ。その代わり、将来裁判になった時にCICIGに便宜を図ってもらいたいんだ」。

翌日、再びゴンサロと一緒にホテルでロドリゲスと会った。渡された書類には365日間に税関で関税を操作して大統領と副大統領に渡された金額の詳細が記されていた。57%が大統領と副大統領、43%がそれ以外のメンバーに渡されることになっていたと思う。その翌日、Cicigのイバン・ベラスケスにこの書類を渡した。そのデータはサルバドル・エストゥアルド・ゴンサレス(逮捕済)のPCにあったものだった。

イバンと話をしたが、イバンはロドリゲスは違法な方法で得た資産をすべて手放す必要があるといった。また、明日もまたロドリゲスと会って、別の情報を貰うことになっているという話もした。

翌朝6時、ロドリゲスからSMSを受け取った。彼は私に「何で自分に対する逮捕状が出ているのだ」と尋ねてきたが、私は何も知らなかった。その後、Cicigからロドリゲスが逃亡したとのメッセージを受け取った。Cicigはロドリゲスの居場所を突き止めるためにSMSを続けてくれと言ってきた。実際、そのお陰でロドリゲスの居場所を突き止めることができた。


 

その後ラ・リネアが摘発された時、検察が真っ先に押収したのがエコーことエストゥアルド・ゴンサレスのPCだったと記憶しています。そしてエコーのPCのデータを元に検察はラ・リネア事件の詳細を把握していった・・・と思ったら、実はその以前にロドリゲスがデータをCicigに手渡してたのですね。

元軍人でオットー・ペレスの側近であった元軍人であるフアン・デ・ディオス・ロドリゲスは、自分の保身のために大統領と副大統領を売った裏切り者であったというのにはびっくりです。IGSS-PISA事件でロドリゲスの周囲に検察の手が伸びていたのは事実ですが、共謀・収賄程度ではそんなに厳しい判決が下るとは思えないので、殺人罪を恐れていたのかしら・・・。

ロドリゲスは別の汚職事件にも関与していたとして再逮捕されており、ひょっとしてあの時エコーのPCのデータを渡さなければ、こういう状況には至らなかった可能性はあるんだろうか、と思わないでもないですが。とは言え、身から出た錆ですものねぇ。

IGSS-PISA事件 VI 当時の状況

前回のエントリーでノマダのジョディ・ガルシアの記事を元にした部分は終わりです(元記事については後でまとめてURLを記載します)。

ここで、一旦、当時のグアテマラの状況を簡単にまとめておこうと思います。

2015年4月16日というのは、今もなお続く一連の汚職の摘発が始まった日でした。

正確に言えば、2014年5月から税関汚職に関する捜査が始まり、関係者の電話盗聴などを経て、ラ・リネア(The Line)と呼ばれる税関汚職に関係していたとされる容疑者の逮捕・指名手配が行われたのがこの日でした。

このラ・リネアの中には当時副大統領であったロクサナ・バルデッティの私設秘書官フアン・カルロス・モンソンの名前もあったのですが、当日モンソンはバルデッティと共に韓国を訪問しており、モンソンはグアテマラに帰国することなくそのまま国際指名手配となったのでした。

逮捕された容疑者に対する最初の予備審判で、検察が行った盗聴電話の録音が公開され、その中で大統領・副大統領と推測される名前が出てきたことから、両者への疑惑が強まります。モンソンはバルデッティの秘書官であり、一緒に帰国する予定であったのに逃亡を見逃したことから、バルデッティの辞任を求める声が高まります。

4月25日土曜日。この後数週間にわたって毎週土曜日に繰り返されることになる、憲法広場での市民によるデモが行われた最初の日です。

5月6日にはバルデッティの不逮捕特権剥奪の可否を問う訴追手続きが開始されるのですが、バルデッティは8日に辞任(逮捕は8月20日)。

こうしてグアテマラの政治と歴史が大きく動いている最中にIGSS-PISA事件も進展を見せていったのでした。ラ・リネアで政府高官に迫った検察を見て、当時のIGSSの高官が焦ったであろうことは想像に難くありません。

IGSSの理事長であり、当時の大統領オットー・ペレス・モリナの側近であったフアン・デ・ディオス・ロドリゲスを始めとする16人が逮捕されたのは5月20日のことでした。この中にはピサの営業部長であったエドガー・レネ・デ・ラ・ペーニャやラミロ・ロレンサナ・オルティスの名前もあります。容疑は殺人ではなく贈賄・収賄・共謀・詐欺など。亡くなった方々に対する刑事責任を直接求めることは難しいかもしれません。せめて民事で賠償請求をして欲しいとは思うのですが。

そしてこの汚職事件が、意外なところでラ・リネアの解明に関係していた・・・という話はまた次回。

 

IGSS-PISA事件 V 契約破棄

2015年5月13日、の腎臓病患者の会はNGOの市民アクションの顧問弁護士とともにピサを殺人、義務不履行、職権濫用、詐欺で告発した。この20人に満たないグループは、告訴状を提出した後、人権擁護庁まで行進し、同庁が憲法裁判所に対し、IGSSとピサの契約の即時停止を求めて保護請求を行うよう要請した。

人権擁護庁はその数日前に、「IGSSとピサは腎臓病患者の生存権を侵害している」とする報告書を出している。その中で、擁護庁はピサが前回契約した会社より1000万ケツァルも安価な金額で契約をしたのはなぜか、競合社に通知が行われなかったのか、更に契約にあたってピサのキャパシティ、経験、インフラについての調査がなされておらず、サービス開始後は提供している治療の内容や使用している薬品等についてチェックすら行われていなかったことを指摘している。契約額が安価だったのは事実かもしれないが、感染患者の治療はIGSSが行っており、コスト削減になったとは言い難い。5月15日までの腹膜炎感染患者は91人に上っている。

更に、人権擁護庁はIGSSとピサの怠慢により死亡したケース、症状が悪化したケース24件について、検察に告発を行っている。しかし、擁護庁のヒルダ・モラレスはIGSSが作成する死亡証明書に記載されている内容が100%正しいとは限らないと警告している。実際腹膜炎で死亡したと思われる患者について、IGSSの死亡証明書では死因は肺炎とされていたケースがあるのだという。

グアテマラのピサ社の広報担当で医師でもあるラミロ・ロレンサナはノマダとのインタビューに応じた。ロレンサナは死亡した患者に弔意を表する一方で、次のように述べた。

「亡くなられた患者さんたちは既に末期状態だったわけですよ。つまり、腎不全を起こす病気があった。糖尿病だとか高血圧だとか心臓病だとかです。いずれの場合も、最後には腎不全を起こすんです。繰り返しますが、患者さんたちは遅かれ早かれ亡くなっていたということです」。

ロレンサナは、ピサの腹膜透析治療が患者のクオリティ・オブ・ライフを改善すると同時に延命に効果をもたらしていると説明する。

「世界的な雑誌に掲載されているデータがあります。それによれば、遅かれ早かれ患者は亡くなると書かれています」。2014年から15年にかけての患者の死亡統計がピサが提供する治療の質を保証するものだと言うのである。「データは(弊社が)治療を行ったのと同じ時期のものです。昨年もほぼ同数の患者さんが亡くなっています。つまり、IGSSのスタンダード内にあるということです」。

一方、IGSSの報道官アルバロ・ドゥボンは、内部監査の結果、ピサは患者に適切な指導を行っておらず、そのために感染患者が増えた可能性があることを認め、同社との契約破棄を明らかにした。今後の腹膜透析は新たな入札が行われるまでバクスターが担当する。

IGSS-PISA事件 IV 経過

2015年3月。

スチテペケス県チカカオ市に住むグスタボはエスクイントラ市で亡くなった。ピサで腹膜透析のためのカテーテルを交換した翌日、容態が悪化した。

妻のミリアムは言う。「胃が痛いと言ってたのですが、その翌日に重態になってしまうとは思いませんでした。透析液の交換を行った時には、ひどく濁った液体が排出されていました。その状態でIGSSに入院したのです」。

IGSSではグアテマラシティに搬送して専門医に見てもらって欲しいと頼んだが、実現しなかった。チカカオからマサテナンゴへ、更にエスクイントラへと搬送され、54歳で亡くなった。ミリアムは透析液で感染したのではないかと疑っているが、証拠はない。

 

ピサとメダックス(ラス・アメリカス病院)の間の契約は破棄された。ピサは9区の施設で患者の治療を続けているが、患者の状況が良くなったというわけではない。既に54日との患者が腹膜炎で入院し、2人が亡くなっている。人権擁護庁は、ピサが必要な衛生手順を守らなかったために患者が細菌感染したと報告している。会計検査院はピサに有利となった入札過程について調査を行う用意があると発言している。


問題が表面化したものの、何ら対策が取られることなく月日が進んでいったのがこの頃でした。この間にも腹膜炎感染患者は増えており、最初に告発があった頃にどうして対策が取られないままになってしまったのかと思わずにはいられません。

今となってみれば、IGSSとピサの間で裏金があったのだろうと容易に想像できるわけですが、まさかそんな杜撰すぎる治療が行われているとは思いもよりませんでした。

1950年代に労働者の福利厚生のために設立されたIGSSは、当初は質の良い医療を提供できていたのではないかと思うのですが、加入者の増加に施設が追いつかない上、お役所仕事なので病気になったからとIGSS病院へ行ったところで、何時間も待たされるのは必死です。もっとも、急病には役に立たなくても、慢性病の定期的な診療と投薬が必要な人にとっては非常に有難い病院でもあります。

たとえば、加入者の治療に非常に高価な薬が必要になった時。IGSSが普段常備しているのは、よくある病気の治療に必要なもので、稀な病気のものは取り扱っていません。最近、そういうケースが裁判となり、「生存権」を理由に裁判所がその高価な薬の購入をIGSSに命じる判決を下すケースが何件もあるそうです。どんなに高価な薬でもIGSSに加入していれば無料でこれを受け取ることができるのです。

それってどうなんだろう?少数の患者さんの権利をないがしろにしていいというつもりはありませんが、そのためにIGSSの経営が圧迫されたりはしないのだろうか?というのは、加入者としては気になるところです。ちなみに加入者の負担は給与の約5%、雇用側が約10.5%で15.5%の負担(医療・年金合わせて)となります。

もっとも、私は別途民間の医療保険に入っていて、必要であれば私立病院に行く方を選びますが、それでももし自分がそういう高額治療が必要になった場合、IGSSに行くようになるかもしれない、とは考える、やっぱり自己中心な人間なのではありますが。

それでもとりあえず望むのは、現在治療を受けていらっしゃる方が、必要な治療を受けられるようにしてほしいということ、そして、IGSSももう少し予防医療に力を入れてもいいんじゃないか、ということです。

 

IGSS-PISA事件 III 乖離

患者らの疑問と不満の声について、ピサの部長エドガル・デ・ラ・ペーニャに尋ねてみた。

デ・ラ・ペーニャによると、既にピサによるケアを受け、医薬品を使用している患者は310人になるという。まだカテーテルの交換を行っていない患者については、3月15日までにセンターに来る必要がある、そうでなければ透析を受ける権利を失う、と説明した。

ピサはカテーテルの交換を行っているが、医者が患者を診察しているわけでもなければ検査も行われていない。そのために6人が感染し、入院していることを尋ねてみた。デ・ラ・ペーニャは患者の容態については了解していないが、ピサには患者の感染の責任はないと言った。

「私達が治療を開始する以前から進行性の感染症があったんでしょう。患者のカルテは、以前透析を行っていた会社が持って行ってしまったので、私達は持っていません」。

腎臓病患者らが非常に心配していたことについても尋ねてみた。感染症を防ぐために以前は支給されていたガーゼがピサのキットの中に含まれていないというのだ。バクスターからは毎月5~7パック受け取っていた。

「ガーゼですって?それは過去の遺物ですよ!患者さんには使用方法の説明の中で手順を説明しています。日常の透析では必要のないものです。滅菌されているわけでもないでしょう。スーパーなんかで売っているものを使っているだけですよ。それが滅菌されているかどうか、どこに保障があるんですか?」

これがピサのメソッドである。530人の患者がこの手順で腹膜透析を行っている。

アルタ・ベラパス県のニコラスは10日の間、同県のIGSS病院に入院していた。娘のメディナは、主治医から詳しい説明は受けなかったものの、ガーゼやその他の医療品の不足と、そこら辺にある布を使えば良いという指導が、父の細菌感染の理由だと信じている。

ガーゼの話はピサによるトラブルの中でも恐らくもっとも些細な部類の話であろう。

アルガは日曜日にIGSSに入院した。カテーテルの交換の後、胃痛に襲われ救急に運ばれたのである。彼女のカテーテルは破損していた。ピサはこれを否定するが、患者はカテーテルが破損しているのを見たと話しており、体からは400以上の細菌が検出されている。

ソラヤはピサの透析液を使った後、胃痛を訴えた。感染症は起こしていないものの、痛みがある。彼女もまた、ピサから受け取った透析液バッグの中に破損しているものがあったと話している。


腎臓病や透析についての知識を持ち合わせているわけではないので、いろいろとチンプンカンプンだったのですが、僕の贈りものというerfangbさんのブログを参考にさせて頂きました。腹膜透析(CAPD)を経て妹さんからの腎移植を受けられたことを丁寧に記録されており、Wikipediaや医療系のサイトよりもわかりやすかったです。特に腹膜透析の模擬練習が興味深かったです。

テルモとバクスターのキットを試されていらっしゃるのですが、どんな辺りが一緒でどこが違うのか、そして腹膜透析では実はキットの提供元が変わるというのは大変なことだということも理解できました。記事本文中”servilleta”と表記されているもの、通常はナプキンのことなのですが、それがどうもガーゼ(多分滅菌ガーゼ)のことらしいと判明したのも、このブログのお陰です。erfangbさん、本当にありがとうございます。そしてどうぞお体を大切にして下さいませ。