Daily Archives: March 3, 2020

コーヒーの真実

イギリスのテレビ局Channel 4のDispatchesという番組が、先頃グアテマラを訪れ、コーヒー農場を取材していったのだそうです。受け入れ側としては、グアテマラ名物コーヒーを取り上げてくれるのだと大喜びだったんじゃないかと思うのですが、ところがどっこい。

出来上がった番組はコーヒー農場での児童労働を摘発するものでした。

国内の農園・農場・協同組合を何ヶ所か取材したそうですが、そのいずれでも子供たちが仕事をしている姿が見られたと。スターバックスやネスレといった、児童労働を認めていないと公言している企業がそういうところからコーヒーを仕入れている。。。

ざっとそんな内容です。30分弱のこのドキュメンタリー、Dispatchesのサイトでしばらくの間見れるようです(要登録)。私は3分程度のダイジェストを見ただけなので、内容を把握しているわけではないのですが。

児童労働、というと親が無理矢理子供を働かせている、なんてシーンを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、コーヒー農場というのはちょっと異なるかもしれないと思ったので、ちょっと思ったことを書いておきます。

季節労働者として農場を巡るのであればともかく、ずっと同じ農場で仕事をしている一家の場合、農場内に家を持っているのが普通です。農場によっては、敷地内に学校を建設し、親が仕事をしている間に子供たちが学校へ行く、という環境を整えているところもあったり。ここいらの学校は大体半日で終わるので、学校が終わった子供たちは何をするかと言えば、仕事をしている親のところへ行って手伝うこともあるんじゃないか。そうやって子供たちは小さい内から「仕事」を覚えていくのですね。

コーヒーの収穫は、地域によって異なるかもしれませんが、ここいらでは10月から2月くらいかな。10月と言えば、ちょうどグアテマラは学校が休みとなる時期です。その間どうするか?親を手伝ってピッキングに行く子は当然いるでしょう。小さい頃は本当に「お手伝い」だけれど10歳にもなるとそれが半ば「仕事」という義務に変わっていくのかも。誰がそれをさせているかと言えば、親なのでしょう。コーヒー農場にとっては誰が収穫しようとちゃんと収穫してくれれば構わないわけで。この先「子どもは仕事させるな」って言われたら、一番困るのは誰なんだろう。

それにしても1日14時間とか15時間とか、立ってピッキングし続けるのは相当に辛い「仕事」です。

ピッキングする人たちの収入がスズメの涙だってのは、全くご指摘の通りですが、コーヒーの価格は国際相場で決まりますし、近年は生産過剰で価格は下がり気味。

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出典:世界経済のネタ調

コーヒー価格が高騰したのは10年前のことだったのね…。

ちなみにグアテマラ国内のコーヒー豆の価格も、近年はそれほど大きく変わっていません。むしろ砂糖の方がどんどん高くなっていっていると思うのだけれど…。

児童労働はいけません、てのは正しい。これはもう超絶正しい。

ネスプレッソは既に声明を発表しており「当社としては児童労働は許容できない。事実関係が明らかになるまで、その地方からのコーヒーの仕入れは停止する」。

ウチの大統領なんかも泡を食って「この件については徹底的に調査する」と、早速「児童労働対策委員会」なるものの立ち上げを発表しました。コーヒー業界全体に影響が及ぶことを心配しているのだろうな。で、誰が委員長になったかというと、コーヒー協会の会長。ん?そんなんでいいのか。

実際のところ、コトはコーヒーに限らず、サトウキビその他の農場でも同じような光景が展開されています。貧困。結局はやはりそこに行き着くわけで。

「来るな」と言われてもひたすら国境を超え続ける移民達と同様、「やっちゃいけない」と言われてもやらないと生活できないような現状。

今まで見えないふりしていたところを突っつかれたなぁ。さて、コーヒー業界はどうするのだろう。