Daily Archives: June 15, 2016

IGSS-PISA事件 II 不審な契約

IGSSはプライベート・セクターとの激しい攻防の末に奪い取った、オットー・ペレス・モリナ政権(当時)の砦の一つである。そのためには手段を選ばなかった。前IGSS理事長でCACIF(経団連)のメンバーでもあるルイス・レイエス・マイエンのセクハラビデオをすっぱ抜いた。大統領府の警備員がIGSSの建物の錠前を交換したことさえあった。そうしてペレス・モリナの側近中の側近であるフアン・デ・ディオス・ロドリゲスを理事長にしつらえた。ロドリゲスはIGSS理事長としてよりも、ペレス・モリナ政権のエージェントとして行動していたとも言える。

IGSS争奪戦の中で、ペレス・モリナはエル・ペリオディコ紙社主のホセ・ルベン・サモラとの友情を失った。サモラは政府によるIGSSの占拠を激しく糾弾し、ロドリゲスはIGSSがエル・ペリオディコ紙に出していた広告を他紙に変更したのである。

 

IGSSが問題の腹膜透析治療の入札を公告したのは2015年5月のことであった。条件は医療施設(待合室、クリニック、指導用DVDを見ることのできるテレビ等の設備のある部屋、患者用病室、カテーテル交換用の部屋、手術室、回復室、検査室、X線装置)、泌尿器科医(腎臓専門)、外科医、栄養士、看護し、救急救命士その他管理・サービス部門の人員である。

ノマダの調査では、ピサはこれらの条件を一つも満たしていなかった。条件をクリアーするために、ラス・アメリカス病院を経営するメディシーナ・コルポラティーバ社と契約し、同病院の書類を入札の申請書として提出したのであった。なお、ピサはラス・アメリカス病院の施設利用契約を2015年9月に交わしているが、施設一式の利用料は月額わずか7ケツァルである。

ピサはこの入札に応札した唯一の企業であった。実際のところは、それまで腹膜透析治療を提供していたバクスター社も応札していた。入札の過程でIGSSは両社に追加書類の提出を求めたのであるが、その通知がバクスターに届いたのは書類提出期限の1時間後であった。ピサは既にその通知を受け、追加書類を提出していた。バクスターは不服申請を出したが拒否された。裁判所に出した保護請求も却下された。

ノマダはラス・アメリカス病院を訪れてみた。契約によればピサは月曜日から金曜日、8時間にわたってこの病院で患者のケアを担当することになっている。しかしその日の14時には誰一人いなかった。

別の日、患者の指導を担当するオスワルドと話をすることができた。彼によれば、ピサがラス・アメリカス病院で借りているのは待合室、カテーテルの交換を行う処置室、透析の手順を指導する部屋の3室で、それ以外はパブリックスペースを使っているだけとのことであった。